猪突直進

人間の擬態で楽しいものこと場所へ赴く猪の忘備録。

雑食ないのししはエンタメもいただく。

うつくしさは力だ!

年が明けて既にひと月半たちますが、その間に観劇初めと二回目観劇を済ませたのでひとまずその感想を覚書程度に。

まず、二年連続で宝塚で観劇初めしました。

『眠らない男・ナポレオン ―愛と栄光の涯(はて)に― 』 | 星組 | 東京宝塚劇場 | 宝塚歌劇 | 公式HP

まあ実際には東京宝塚劇場ではなく、通称ムラ(宝塚大劇場)に初めて行ったのですが、東京公演これからなのでリンクはこちらで。

宝塚歌劇団の公演自体は既に4回ほど見たことがあったのですが、いままでずっと宙組さんの公演ばっかり見ておりまして、初ムラと同時に初星組でした。

 

今回の公演、こちらのページの解説にもあるのですが

 宝塚歌劇100周年の記念すべき第一作は、「宝塚から世界へ発信するオリジナル作品」を目指した超大作ミュージカル。作曲に『ロミオとジュリエット』のジェラール・プレスギュルヴィック氏を招き、小池修一郎との日仏コラボレーションでの創作となります。
 フランスが生んだ最大のヒーロー、ナポレオン・ボナパルトの栄光に彩られた人生の軌跡を、妻ジョセフィーヌとの愛と葛藤を中心に、切なくも激しい魅惑のメロディの数々に乗せて、壮大なスケールで描きます。

ということで、日本初演の作品です。

そんなわけで全体的に気合いの入った作りであるのが宝塚初心者にもひしひしと伝わってくる、豪勢でパワーに溢れた公演でした。

ナポレオンの生涯というと、絶頂期のその後の孤島への幽閉なんかはものすごく暗澹たるイメージなので、そのまま死んでしまうことを思うと描き方によっては後味がものすごく悪くなるのではないかなーと考えていたりしたのですが、そこら辺はさくっと二言三言で流され(というか暗澹たる部分については特に言及もなく?)、絶頂へ駆け上がりそして地に堕ちる稀代の英雄の姿が、火花のように苛烈に儚く描かれている作品だったなーと思います。

そして、星組といえば、ちえねね(星組トップの柚希礼音さんと夢咲ねねさん)というコンビ名(?)が、疎い私にすら名前が届くくらいに素晴らしい組み合わせであるのだなーというくらいの認識だったのですが、確かにお二人が寄り添うビジュアルと雰囲気にぐっと心をつかまれるものがあって、これが…噂の!!と納得しました。

そしてEDのデュエットダンスのギランギランした舞台の光源乱反射!みたいなお衣裳のねねさんを拝見し、「これなんか私がイメージしてたねねさんと違う…ねね様だ!!」と謎の得心に至った次第です。

美しさはパワーであり力を持つ者は正義なのです。なんかすごい強かった。

 

また、気合いの入った作品だけあって衣装なども豪勢でした。

今回ムラへ連れて行ってくれたお友達に言われて気が付きましたが、ねね様の演じられるジョゼフィーヌなんかは、シーンが変わるごとに衣装が変わって二度と同じ衣装を着ない勢いです。貴族の女性の豪華絢爛さが視界からびしばし伝わってきました。

ナポレオンが皇帝になる、戴冠のシーンの皇帝のマントなんかもとても美しくて…

宝塚の良さというのには、個人的には容赦のない衣装のきらきらっぷりがあると思っているのですが、この演目は特に視覚的な情報が直接脳みそに美しさで殴りかかってきます。綺麗はパワーです!たのしい!

物語の内容についてはどこまで言及するべきだか少し悩んでしまうのですが、舞台上の直接的な美しさにも負けないくらいに綺麗な構図でした。

ナポレオンが頂点に上り詰めるはるか以前の幼少期の思い出が、上り詰めたあとのナポレオンを追いかけてそして地に落とすその図に泣きました。

個人的には、ナポレオンの友であり部下であって最終的には彼を追い落とすことになったマルモンがすごく好きでした。第二の主役と言っても過言ではない立ち位置だったので、まあなんていうか主人公大好きないのしし的にはさもありなんって所なのですが。

この物語は、ナポレオンが全てを手に入れてそして堕ちていく物語なのですが、物語は彼のモノローグの内なので、あるいは彼の胸の中に大事にしまわれた美しい思い出なのかもしれないなーと。

そんなわけでマルモンを演じられていた紅ゆずるさんのことを好きになって帰ってきた初めての宝塚大劇場でした。

チケット既に完売してるけれども譲渡なんかはまだ出ているようなので、どうにか時間とお金を駆使してこれから観劇の予定を見に行けそうな人にはぜひぜひご覧いただきたい公演でした。